複数店舗の小売業、サービス業の管理監督者

複数の店舗を有する小売業、サービス業の店長でも、労働基準法の管理監督者として認められるケースは少ないです。
そのため、残業手当、休日出勤手当の支払いが必要になります。

管理監督者として認められるケースは、次のいずれにも該当するときになりますが、かなりハードルが高いです。

職務内容と責任権限について

1.採用

小売業、サービス業の店舗に所属するパート、アルバイトの採用の責任と権限があること

2.解雇

小売業、サービス業の店舗に所属するパート、アルバイトの解雇する権限があること

3.人事考課

人事考課の制度がある企業において、部下の人事考課が職務内容に含まれていること

4.労働時間の管理

小売業、サービス業の店舗のシフト表作成、残業等の時間外労働の命令の権限があること

勤務態様について

1.遅刻、早退等による取り扱い

遅刻、早退により、欠勤控除、減給の制裁、人事考課で不利益な取り扱いをしないこと
管理監督者であっても、過重労働の把握、深夜手当の支払いなどの観点から、労働時間の管理は必要になります。

2.労働時間の裁量

小売業、サービス業の営業時間であっても店舗に常駐していなくてもよく、人員不足であっても店舗業務をすることがなく、労働時間の裁量がまかされていること
この部分はかなりハードルが高いと思います。

3.部下の勤務態様と相違

管理監督者の職務が大半を占め、労働時間の制約を受ける部下と勤務態様が違うこと

賃金等の待遇について

1.基本給、役職手当等の

基本給、役職手当等の賃金額が、実際の労働時間を勘案した場合に、割増賃金が支払われなくても十分な待遇がされていること

2.年間賃金総額

1年間の賃金総額が、多店舗を含めた同一企業内の一般労働者に比べて、十分な賃金が支払われていること

3.時間単価

実際の労働時間を時間単価に換算した場合でも、パート、アルバイトの時間給以上であり、十分な賃金が支払われていること