最低賃金違反で書類送検された“賃金未払いリスク”「1円も払わず」は絶対NG


はじめに

2026年3月、長崎において重大な労務違反が発覚しました。

従業員に対し「1円も賃金を支払わない」という極めて悪質なケースです。

これは単なる労務トラブルではなく、刑事事件(書類送検)に発展する重大違反です。

飲食業でも「資金繰りが厳しい」「一時的に払えない」といった相談は少なくありませんが、今回の事例は“絶対にやってはいけないライン”を明確に示しています。


事件の概要

今回のポイントを整理します。

  • 従業員2名に対し賃金を一切支払わず
  • 最大3か月間の未払い
  • 合計約68万9000円
  • 最低賃金(当時953円)を基準に算定
  • 最低賃金法違反で書類送検

「最低賃金すら払わない」は一発アウト

まず重要なポイントです。

▶ 最低賃金は“絶対ライン”

最低賃金は、「労使合意があっても下回れない」、「経営状況に関係なく支払義務あり」、「未払いは即違法」。

つまり、「払えない」は理由になりません。


賃金未払いの法的リスク

最低賃金法違反(刑事罰あり)

  • 50万円以下の罰金

労働基準法違反

  • 賃金全額払いの原則違反
  • 遅延利息(年3%)
  • 付加金(最大2倍)

刑事事件化(今回のケース)

今回のように、悪質(全額不払い)で、継続性あり(複数月)、被害者複数の場合は、書類送検 → 起訴 → 有罪の可能性があります。


飲食業で実際に起きやすいパターン

飲食業では以下のケースが非常に多いです。


ケース①:資金繰り悪化で後回し

「今月厳しいから来月まとめて払う」

👉 違法です


ケース②:試用期間だから低くてOK

👉 最低賃金は適用されます


ケース③:売上連動で未達ならゼロ

👉 完全歩合でも最低賃金保障が必要


ケース④:辞めたから払わない

👉 退職後でも支払い義務あり


「払えないとき」はどうすべきか?

経営が厳しい場合、正しい対応は以下です。


✔早期に専門家へ相談

  • 社労士
  • 税理士
  • 金融機関

✔支払計画を作る

  • 分割払いの合意
  • 書面化

✔労基署への自主相談

👉 放置より“相談”の方が圧倒的に安全


やってはいけないNG対応

  • 無視する
  • 連絡を絶つ
  • 「後で払う」と言い続ける
  • 1円も払わない

👉 今回はこの最悪パターンです


飲食業で特に注意すべきポイント

アルバイトでも対象

  • 学生
  • 短期
  • スキマバイト

👉 全員対象


現金手渡しでも義務あり

👉 支払方法は関係なし


タイムカードがなくても義務あり

👉 労働実態があれば支払い必要


経営者が知るべき本質

賃金とは、「労働の対価」だけではなく、「生活保障」です。

だからこそ、法律で守られている、刑事罰があるのです。


今回の事例から学ぶべきこと

結論

👉 賃金未払いは、経営問題ではなく犯罪


当事務所からの実務アドバイス

飲食業の現場では、人手不足、原価高騰、資金繰り悪化が重なり、非常に厳しい状況です。

しかし、「賃金だけは絶対に守る」これが経営の最低ラインです。


今すぐチェックすべき項目

  • 最低賃金を下回っていないか
  • 残業代を正しく払っているか
  • 支払遅延がないか
  • 手渡し・未記録になっていないか

こんな方はすぐご相談ください

  • 賃金が払えない可能性がある
  • 従業員とトラブルになっている
  • 労基署から連絡が来た
  • 給与計算に不安がある

まとめ

今回のポイントです。

  • 最低賃金未払いは即違法
  • 「払えない」は理由にならない
  • 悪質な場合は刑事事件になる
  • 飲食業でも他人事ではない

飲食業専門の社労士として、未払いリスクの診断、労基署対応、給与制度の見直しをサポートしています。

お困りのことは、問い合わせフォーム から、お気軽にご相談ください。