労災隠しは「犯罪」です~飲食店経営者が絶対に知っておくべき法的リスクと正しい対応~


「労災を使うと面倒だから…」は通用しない時代

飲食業では、包丁による切創、熱油・熱湯による火傷、転倒・腰痛、長時間労働による体調不良など、労災事故が日常的に発生しやすい業種です。

その中で今なお多いのが、「これくらいなら労災にしなくていいよね」、「健康保険で処理しておこう」という労災隠しです。

結論から言います。
👉 労災隠しは明確な犯罪行為です。

「知らなかった」「善意だった」は一切通用しません。


労災隠しとは何か?

労災隠しの定義

労災隠しとは、本来、労働災害として労働基準監督署へ報告すべき事故

  • 事故そのものを報告しない
  • 虚偽の内容で報告する
  • 健康保険で処理させる
  • 従業員に労災申請をさせない

これは単なる「手続ミス」ではありません。


労災隠しは刑事罰の対象(=犯罪)

根拠法令

労働安全衛生法 第120条

労働災害の報告をしなかった者、虚偽の報告をした者は50万円以下の罰金

つまり、 経営者個人が処罰対象前科が付く可能性もあるという重大なリスクがあります。


なぜ飲食店で労災隠しが起きやすいのか?

よくある理由(すべてNGです)

  • 保険料が上がるのが怖い
  • 手続が面倒
  • 労基署が来るのが嫌
  • 従業員との関係が悪くなると思った
  • アルバイトだから大丈夫だと思った

👉 どれも理由になりません。


「健康保険で処理」は最も危険

これは二重の違法行為

業務中のケガを健康保険で処理させる行為は、二重違法になります。

  1. 労災隠し(事業主の違法行為)
  2. 健康保険法違反(不正利用)

さらに後日、従業員が労災申請、医療機関から照会、労基署の調査が入ると、必ず発覚します。


労災隠しが発覚する主なきっかけ

  • 従業員からの内部通報
  • 退職後の労災申請
  • 病院からの照会
  • 労基署の定期監督
  • 同業他社・元従業員からの情報提供

👉 「バレない」は幻想です。


発覚した場合の経営リスク

① 刑事罰(罰金)

前述のとおり、50万円以下の罰金。

② 労基署からの是正指導・送検

悪質と判断されれば書類送検されます。

③ 企業名公表のリスク

最近は、実名報道されるケースも増加しています。

④ 従業員との信頼関係崩壊

  • 「会社は守ってくれない」
  • 離職・内部告発・労働トラブル増加

「従業員が労災を使いたくないと言った」は通用しない

重要ポイントです。

👉 労災申請の義務は事業主側にあります。

たとえ、従業員が「いいです」と言った、同意書を書いてもらったとしても、事業主の責任は免れません。


正しい対応|事故が起きたらどうする?

飲食店が取るべき正しい流れ

  1. 速やかに医療機関を受診
  2. 労災扱いであることを伝える
  3. 労働者死傷病報告を提出
  4. 労災保険の申請をサポート

これが唯一の正解です。


「労災が増えると保険料が上がる」は誤解

確かに、労災保険料率は業種ごとに定められています。

しかし、1件の労災で即大幅アップ、経営が成り立たなくなるということは通常ありません。

👉 違法リスクと比べれば、労災保険料は圧倒的に安いコストです。


社労士から飲食店経営者へのアドバイス

  • 労災は「隠すもの」ではなく「守る制度」
  • 事故対応の社内ルールを整備
  • 店長・責任者にも正しい知識を共有
  • 迷ったら必ず専門家に相談

当事務所のサポート内容

当事務所では、飲食業に特化しています。

  • 労災事故対応サポート
  • 労基署対応・是正指導サポート
  • 労災隠しリスクの事前チェック
  • 店舗向け労務研修

「知らなかった」では済まされない時代です。
正しい労務管理が、飲食店を守ります。

「これって労災?」と迷ったら、お問い合わせフォーム から、お気軽にご相談ください。