学生アルバイト、フリーターの103万円の壁

毎年、10月頃から年末調整の時期に給与が103万円を超えてしまいそう又は超えてしまったからどうしたらいいですか?という相談を受けることが多くなります。

最近、社会保険のいわゆる106万円の壁、130万円の壁が世間をにぎわせていますが、103万円の壁も考えなければなりません。

103万円の壁とは

103万円の壁とは、年間給与額が103万円を超えると、生命保険料控除など他に控除できるものがなければ、所得税が課税される年収額を指します。
また、親など家族の扶養に入っている人は、年収103万円を超えると扶養を外れ、扶養者の所得税と住民税が増える年収額でもあります。
そのため、親に黙って103万円を超えてアルバイトをしていると、翌年以降に、親の勤務先に税務署から扶養の是正する通知が届き、そこで発覚することが多々あります。

年間給与額とは

年間給与額とは、正式名称ではありません。
わかりやすくするために使った名称ですが、1月から12月までに支給された給与総額です。
手取り額ではなく、総支給額です。
ただし、通勤手当など、非課税の給与がある場合はその金額は除かれます。
給与明細に課税支給額が表示されている場合は、その金額になります。
また、掛け持ちや転職した場合は、その分も含めての金額です。

大学生のほうが親に与える負担が多くなる

年間給与が103万円を超えると、親など家族の扶養から外れることになりますが、高校生と大学生では親に与える影響はに違いがあります。
高校生、大学生と表現しましたが、実際はその年の12月31日現在の年齢で判断します。
通常の扶養控除の金額は、所得税38万円、住民税35万円です。
その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の場合、特定扶養親族となり、控除の額は所得税63万円、住民税45万円になります。

仮に所得税、住民税が10%だとすると、高校生の場合、年間73,000円、大学生の場合、108,000円の税金の負担が親に増えることになります。
所得税の場合、年収が高くなると税率が上がるので、年収が高い親の場合、負担額はもっと増えることもあります。

配偶者の場合は、103万円の壁はない

配偶者にも扶養控除と同じく配偶者控除があります。
年間給与が103万円を超えると配偶者控除は受けることができなくなりますが、配偶者には配偶者特別控除という別の控除があります。
配偶者特別控除は、年間給与が103万円以内の場合は受けることができませんが、103万円超から150万円までなら、配偶者控除と同額の所得税38万円、住民税35万円が受けられますので、配偶者の場合は税金面では150万円が壁になります。
※150万超から201万円までは段階的に控除額が減っていくことになります。

税金面では150万円が壁という言い方をしたのは、社会保険の面では106万円の壁と130万円に壁があるからです。

<106万円の壁>
101人以上の大企業が対象になりますが、学生以外で週20以上間以上勤務する、年収106万円(月額88千円)の人は、健康保険、厚生年金の加入対象になりますので、扶養から外れることになります。

<130万円の壁>
企業規模や、学生、配偶者等関係なく、年収130万円を超えると、健康保険を配偶者や親の扶養になっている場合、扶養から外れることになります。
扶養から外れた場合は、勤務する会社で、健康保険、厚生年金に加入するか、国民健康保険、国民年金に加入することになります。

学生は年収管理が必要

上記の106万円、130万円の壁については、103万円の壁とは違い、1円でも超えたからと言ってすぐに健康保険、厚生年金に加入しないといけないわけではありません。
国も「年収の壁・支援強化パッケージ」として、猶予措置を設けています。

103万円の壁については1円でも超えたらアウトになります。

また、毎年最低賃金は上がり続けているのに、扶養控除の対象になる年収は変わらないので、103万円ギリギリのラインで働いている人は、最低賃金で働いている場合、働ける時間が徐々に少なくなっていくことになります。

学生の場合、親が扶養を外して働いてもいいと許可がもらえれば別ですが、そうでない限り、毎月の給与額を管理していく必要があります。

企業側も、飲食店やサービス業などで年末の書き入れ時にアルバイトに勤務してもらえないとなると、困ってしまいますので、1か月8万円を超える給与を支払う人だけでも年収管理をしておくことをお勧めします。