🍽 飲食業の人手不足時代における人材定着対策
小野里実〜採用よりも“辞めない職場づくり”を〜
目次
1. 飲食業の「人手不足」は構造的な問題
近年、飲食業界では慢性的な人手不足が深刻化しています。
求人広告を出しても応募が集まらない、せっかく採用しても数か月で退職してしまう——そんな声を多く聞きます。
背景には、以下のような要因があります。
- 少子高齢化による労働人口の減少
- コロナ禍以降の生活スタイルの変化
- 働き方に対する価値観の多様化
- 長時間労働・低賃金というイメージ
これらは“経営努力だけでは解決できない”社会的課題でもあります。
しかしその一方で、「定着率を上げることで人手不足を緩和している店舗」も確実に存在します。
つまり、これからの飲食業界で大切なのは「採用力」ではなく「定着力」です。
2. 採用よりも「定着」に力を入れるべき理由
採用コストは年々上昇しています。
求人広告費だけでなく、教育・研修にかかる時間的コストも増加。
もし新入社員が3か月で辞めてしまえば、採用・教育にかけた投資はすべて失われることになります。
一方で、「辞めない職場」を作ることができれば、
- 採用コストが減少
- 現場の教育負担が軽減
- スタッフの熟練度・接客品質が向上
- 店舗全体の雰囲気が安定
という好循環が生まれます。
3. 人材定着のカギは「仕組み」と「信頼関係」
飲食業では、オーナーや店長が日々現場で忙しく、「人を育てる時間」が後回しになりがちです。
しかし、離職防止のためには“仕組み”と“信頼”の両方が欠かせません。
以下に、実際に多くの飲食店で成果が出ている「定着の３つのポイント」を紹介します。
4. 定着率を上げる３つの具体的対策
① スタッフの「声を聞く仕組み」をつくる
忙しい店舗では、スタッフとのコミュニケーションが「指示・注意」だけになりがちです。
しかし、辞めるスタッフの多くが口にするのは「誰にも相談できなかった」「気持ちが伝わらなかった」という言葉です。
🔹おすすめ施策
- 月に1回の個別面談
- 店長・社員によるLINEフォロー
- アンケートなどの“匿名意見箱”
これらを導入することで、不満を放置せず早期に気づくことができます。
「この店は自分の話を聞いてくれる」と感じたスタッフは、安心して働き続けられるのです。
② 評価・給与・昇給ルールの「見える化」
「どうすれば時給が上がるのか」「社員になれる基準は？」が曖昧だと、やる気は長続きしません。
一方で、基準を明確にしておくだけで、スタッフの意識は大きく変わります。
🔹おすすめ施策
- 評価シートを作成し、行動基準を明示
- 定期昇給・役職基準をルール化
- 表彰制度やインセンティブを導入
特にアルバイト中心の店舗では、「頑張りを認めてもらえる」ことが最大のモチベーションになります。
昇給が公平であれば、店長への信頼も高まります。
③ 労働時間とシフトの見直しで「ムリのない職場」を
飲食業では繁忙期の長時間労働が避けられないこともありますが、常に人が足りず、誰かが無理をしている状態は定着の最大の敵です。
🔹見直しポイント
- シフト作成を一人に任せず分担化
- 休み希望の共有・調整をシステム化
- 業務を細分化して新人でもできる仕組みを整備
シフトの公平感がある職場は、“人間関係のトラブル”も起こりにくくなります。
5. 店舗全体で「定着文化」を育てる
スタッフが定着する店舗には共通点があります。
それは、「人を大切にする文化」が根付いていることです。
- 忙しくても「ありがとう」が飛び交う
- トラブルが起きても責めずに仕組みで解決
- 店長が“背中で見せる”姿勢
どんな仕組みを整えても、結局のところ「人に向き合う姿勢」が定着を左右します。
社労士として多くの現場を見てきましたが、職場の雰囲気を整えることが最も効果的な離職防止策です。
6. 飲食業専門社労士によるサポート内容
高田馬場労務事務所では、飲食業に特化した定着支援を行っています。
🔹サポート例
- シフト・労働時間管理の効率化
- スタッフ評価制度の構築
- 店舗向け「人材定着診断」
- 面談シート・ヒアリング制度の導入支援
- 労働トラブル防止のための労務相談
労務管理の仕組みを整えることで、経営者が現場に集中できる環境をサポートします。
7. まとめ：人が辞めない店が“選ばれる時代”
人手不足が続く中で、「採用できる店」と「辞めない店」の二極化が進んでいます。
採用広告よりも、日々の職場づくりが未来の人材確保につながります。
「うちは人がすぐ辞める」「店長に負担が集中している」とお悩みの飲食店様は、
ぜひ一度、飲食業専門の社会保険労務士にご相談ください。
📞 お電話や 🌐 お問い合わせフォーム から、お気軽にご相談ください。
