社長1人の会社は、労働保険(労災保険・雇用保険)に加入できる?

飲食店を法人化し、「とりあえず社長1人でスタートした」というケースは多くあります。

その際、必ず聞かれるのがこの質問です。

社長1人の会社でも、労働保険って入らないといけないんですか?
そもそも加入できるんですか?

結論から言うと、労災保険と雇用保険では、扱いが大きく異なります。


労働保険とは?

労働保険とは、次の2つをまとめた総称です。

種類内容
労災保険業務中・通勤中のケガや病気を補償
雇用保険失業時や育児休業中の生活を支援

ポイントは、「労働者を守るための保険」という点です。

この前提が、社長1人会社を考えるうえで非常に重要になります。


社長(代表取締役)は「労働者」なのか?

結論から言うと、原則として、社長は労働者ではありません。

理由は以下のとおりです。

  • 会社を使用する立場(使用者)
  • 指揮命令を受ける側ではない
  • 報酬は「賃金」ではなく「役員報酬」

そのため、労働者向けの制度である労働保険は、原則対象外となります。


労災保険は加入できる?

原則:社長1人会社は労災保険に入れない

社長は労働者ではないため、通常の労災保険には加入できません。

しかし、ここで終わりではありません。


中小事業主等の「特別加入制度」とは?

労災保険には、中小事業主等特別加入制度という例外的な仕組みがあります。

これを使えば、社長1人会社でも労災保険に加入可能となります。

特別加入の主な要件

  • 中小企業であること
  • 労働保険事務組合を通じて加入
  • 現場作業に従事していること

飲食店の場合、調理、ホール業務、配達、清掃などを社長自ら行っているケースが多く、特別加入の対象になりやすい業種です。


なぜ飲食店の社長は労災加入を検討すべきか?

飲食店は、業種として見ても、切創(包丁)、火傷、転倒、腰痛など、労災リスクが非常に高い業種です。

もし社長がケガをした場合、健康保険は 業務中は使えない、休業補償は 原則なし、収入補填 もゼロという状態に陥る可能性があります。

社長=最後の現場要員という飲食店こそ、労災特別加入は重要です。


雇用保険は加入できる?

一方、雇用保険はさらにハードルが高いです。

雇用保険の前提条件

  • 雇用されていること
  • 失業する可能性があること
  • 指揮命令下にあること

社長1人会社では、原則として雇用保険には加入できません。


例外はある?

ごく例外的に、取締役でも「使用人兼務役員」で「実態として労働者性が強い」場合に、雇用保険が認められるケースもあります。

しかし、社長1人会社で該当しません。


よくある勘違い

❌ 法人だから自動的に労働保険に入る
❌ 役員報酬を払っているから雇用保険に入れる
❌ 社会保険と労働保険は同じ

これらはすべて誤解です。

制度を誤って理解したまま進むと、不要な保険料負担、行政調査での指摘、未加入によるトラブルにつながります。


従業員を1人でも雇ったらどうなる?

アルバイトを1人でも雇った時点で、労災保険は強制加入、雇用保険は要件に該当する場合で加入となります。

このとき、社長はどう扱われるのか?という整理ができていないと、実務が一気に混乱します。


飲食業専門社労士からのアドバイス

✔ 創業時に制度整理をしておく
✔ 社長のリスクを「自己責任」にしない
✔ 人を雇う前に労働保険の設計をする

これが、後悔しない経営の第一歩です。


当事務所ではこんなご相談が増えています

  • 社長1人でも労災に入りたい
  • 法人化したが保険がわからない
  • 人を雇う前に整えたい
  • 労基署・年金事務所が不安

飲食業に特化した社労士だからこそ、現場実態を踏まえたご提案が可能です。


「うちはどうなる?」
その疑問、今のうちに解消しておきましょう。

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