民法の年齢計算に関する法律とは?~社会保険にどう影響するのか~
目次
「誕生日当日から」は実は間違い?
「40歳になったのは誕生日当日」
「65歳になるのは誕生日の日」
多くの方が、こう認識しています。
しかし 法律上の年齢の数え方 は、私たちの感覚とは異なります。
この「ズレ」が原因で、社会保険・介護保険・年金・雇用実務において、飲食店でも 実務ミス・説明不足・トラブル が起きやすくなっています。
「年齢計算に関する法律」とは
年齢はどの法律で決まっている?
年齢の計算方法は、実は 民法 ではなく、「年齢計算に関する法律」という、たった3条しかない法律で定められています。
条文
年齢計算に関する法律 第1条
年齢は、出生の日から起算する。
民法第143条
期間を日、週、月又は年によって定めたときは、初日は算入する。
この2つが組み合わさることで、「誕生日の前日に年齢が加算される」 という結論になります。
なぜ「前日」になるのか
たとえば、2000年4月2日生まれ
- 2000年4月2日 → 1日目
- 2001年4月1日 → 365日目
つまり 1年が満了するのは誕生日の前日 なのです。
👉 これを法律用語で「起算日算入」 と言います。
社会保険と「年齢計算」が結びつく理由
社会保険制度では、以下のように 年齢要件 が非常に多く使われています。
- 40歳:介護保険第2号被保険者
- 65歳:介護保険第1号被保険者
- 70歳:健康保険の高齢受給者
- 75歳:後期高齢者医療制度
- 年金の支給開始年齢
- 高年齢雇用継続給付 など
これらは すべて「法律上の年齢」 が基準です。
【最重要】40歳と介護保険の関係
介護保険は「40歳の前日」から
よくある誤解:
「40歳の誕生日から介護保険料が引かれる」
❌ 間違いです。
✅ 正しくは
40歳の誕生日の前日 から介護保険第2号被保険者 になります。
実務例
- 1985年6月10日生まれ
- 40歳到達日:2025年6月9日
👉 2025年6月分の給与から介護保険料の控除が開始されます。
よくあるトラブル
- 給与明細を見て「誕生日まだなのに引かれている!」とクレーム
- 店長が説明できず、不信感につながる
- 「会社が勝手に引いた」と誤解される
👉 すべて年齢計算の理解不足が原因 です。
65歳到達と社会保険の実務
65歳も「前日到達」
65歳も同様に、65歳の誕生日の前日で到達となります。
介護保険の切り替え
65歳になると、
- 介護保険第2号 → 第1号被保険者
- 原則、市区町村が保険料を徴収
ただし、厚生年金・健康保険に加入し続ける場合、特別徴収の切り替えタイミングなど、実務は非常に複雑です。
飲食店で多い誤解
- 「65歳になったら社会保険は外れる」
- 「パートだから関係ない」
👉 どちらも 誤り です。
70歳・75歳と健康保険
70歳以上の高齢受給者
70歳到達(前日)で、医療費の自己負担割合が変更、健康保険証に「高齢受給者証」が追加
75歳で後期高齢者医療へ
75歳の誕生日の前日で、健康保険資格喪失、後期高齢者医療制度へ自動移行
年金実務と年齢計算
老齢年金の受給開始
老齢基礎年金・厚生年金も、支給開始年齢は法律上の年齢到達日が基準です。
在職老齢年金との関係
飲食店では、60歳以降も働く、パート・嘱託・再雇用というケースが多く、 年齢到達日を1日誤るだけで支給調整額が変わるということも珍しくありません。
飲食店で実際にあった相談事例
事例① アルバイトからの介護保険クレーム
- 40歳未満だと思っていた
- 誕生日の前月から控除開始
- 説明できず不信感
👉 社労士が説明 → 即解決
事例② 65歳パートの社会保険誤脱退
- 店長判断で65歳到達月に喪失
- 実際は継続加入が必要
事例③ 75歳資格喪失漏れ
- 本人任せにしていた
- 資格喪失届未提出
- 後日まとめて指摘
飲食店経営者が取るべき実務対応
年齢到達「月」を必ず管理
- 誕生日リストの作成
- 年齢到達前に社労士確認
従業員への事前説明
- 介護保険開始前
- 給与明細変更前
👉 「法律で決まっています」だけでは不十分
👉 図解・文章での説明が有効
店長任せにしない
飲食店では、店長=人事担当であることが多く、法律知識が十分でないケースが非常に多いため、 外部専門家の関与が必須 です。
飲食業専門 社会保険労務士からのアドバイス
年齢計算は、知っていれば単純、知らないと必ずトラブルになる典型的な分野です。
特に飲食業は、パート・アルバイトが多い、年齢層が幅広いため現場説明が重要という特徴があり、年齢×社会保険のトラブルが非常に起きやすい業種 です。
- 社会保険の年齢判断が不安
- 店舗で説明できるか不安
- 介護保険・高齢者雇用を整理したい
そんな時は、飲食業専門の社会保険労務士 にご相談ください。
お電話や お問い合わせフォーム から、お気軽にご相談ください。

