入社月に退職した場合の社会保険料はどうなる?~同月得喪・健康保険と厚生年金の違い ~
飲食店では、試用的な短期雇用、採用後すぐのミスマッチ退職、繁忙期のスポット的な正社員雇用などにより、「入社した月に退職する」ケースが珍しくありません。
このとき、必ずトラブルになりやすいのが「社会保険料は払うの?払わないの?」問題です。
目次
社会保険料徴収の原則ルール
月の中途から入社した場合
社会保険の加入期間(資格取得・喪失)は日単位で管理されますが、社会保険料は「月単位」で発生します。
そのため、月途中に入社した場合でも、就業日が「1日」しかなくても、 入社した月から1か月分の社会保険料が発生します。
月の中途で退職した場合
社会保険の資格喪失日は、「退職日の翌日」です。
社会保険料は、 資格喪失日が属する月の前月分まで納付する必要があります。
具体例
- 退職日:1月4日
- 資格喪失日:1月5日
この場合、 1月分までの社会保険料を納付します。
※なお、月末(1月31日)退職の場合資格喪失日は翌月1日となるため、 退職した月分まで保険料が必要となります。
入社月の中途で退職した場合(同月得喪)
入社した月に資格を取得し、同じ月に資格を喪失する場合を「同月得喪」といいます。
この場合、健康保険料:必ず発生、厚生年金保険料:原則発生(例外あり)となります。
社会保険の「同月得喪」とは?
同月得喪の定義
例:
- 1月1日 資格取得
- 1月14日 退職
- 2月15日 資格喪失
👉 同じ月(1月)に取得・喪失しているため「同月得喪」
※注意
月末退職の場合は、資格喪失日が翌月1日となるため同月得喪には該当しません。
同月得喪における厚生年金保険料の取り扱い
原則ルール
同月得喪となった場合でも、
👉 原則としてその月分の厚生年金保険料は発生します。
例外ルール
ただし、次の場合には 先に喪失した厚生年金保険料は不要となります。
- 同月内に
- 別の会社で厚生年金に再加入
- 国民年金に加入
👉 月末時点の年金資格で、日本年金機構が判断します。
厚生年金保険料を給与から控除する方法
実務上、最も一般的な対応です。
- 給与計算時に 一旦、厚生年金保険料を控除
- その後、 年金事務所から「還付のお知らせ」が届く
- 事業所に還付
- 被保険者負担分を退職者へ返金
⚠️手続き・返金・源泉徴収票修正など、実務負担が大きいのが難点です。
厚生年金保険料を控除しない方法
以下が確認できる場合、厚生年金保険料を控除しない対応もあります。
- 国民年金保険料納付書の写し
- 健康保険・厚生年金資格取得確認通知書
- 標準報酬決定通知書
👉 新たな年金資格取得が明確な場合のみ慎重な判断が必要です。
同月得喪における健康保険料の取り扱い
健康保険料は例外なし
同月得喪の場合でも、 健康保険料は必ず1か月分発生します。
- 国民健康保険に加入した場合
- 別会社で健康保険に加入した場合
👉 いずれの場合も、先に喪失した健康保険料は免除されません。
そのため、健康保険料は必ず給与から控除します。
同月得喪が発生した場合の留意点
飲食店で同月得喪が発生した場合、次の点に注意してください。
① 厚生年金保険料が不要となるケースを正確に把握
② 年金事務所からの還付通知を見落とさない
③ 還付があった場合は退職者へ必ず返金
④ 源泉徴収票を修正・差替して再交付
飲食店経営者・人事担当者へのアドバイス
飲食業では「短期離職」が起こりやすく、同月得喪は決して珍しいケースではありません。
しかし、誤った保険料控除、還付漏れ、説明不足によるトラブルは、従業員との信頼関係を大きく損ないます。
👉 「入社月退職」は、必ず専門家確認を。
社会保険の手続きは、1日の違い・月末かどうかで結果が大きく変わります。
「このケース、控除していい?」、「還付対象になる?」と迷ったら、早めにご相談ください。
お電話や お問い合わせフォーム から、お気軽にご相談ください。


