飲食業で増える「リベンジ退職」とは何か――突然辞められる会社の特徴と、今日からできる防止策

近年、SNSを中心に「リベンジ退職」という言葉が急速に浸透しつつあります。

リベンジ退職とは、会社・上司・働き方への不満が蓄積し、“最後の一撃”として突然退職する行為
のことを指します。

とくに飲食業界では、「もう我慢できない」「むしろ辞めることで一矢報いたい」という心理が強く働きやすい業種です。

  • 長時間労働
  • スタッフ間の人間関係
  • 店長のマネジメント不足
  • シフトの負担

飲食店経営者の中には、「急に辞められた」、「店を回せなくなった」、「SNSに内部事情を書かれた」
という相談も少なくありません。

本記事では飲食業専門の社労士として、リベンジ退職の実態、原因、法律、そして防止策を徹底的に解説します。


リベンジ退職とは何か?

リベンジ退職は以下の特徴を持ちます。

1.突然の退職

・当日連絡
・無断欠勤の後に退職申出
・有休消化だけ申請して出勤せず

2.SNSでの“告発”を伴うことも

・店長のパワハラ
・シフトの不公平
・厨房の衛生管理 など

3.職場への「心理的仕返し」が動機

・感情の限界
・承認されなかった苦労
・軽視された働き方


飲食業でリベンジ退職が多い理由

飲食店は「リベンジ退職の温床」となりやすい構造があります。

1.シフト負担の偏り

新人・女性・長時間働く人に偏りがち。

2.店長のマネジメントスキル不足

飲食業では、すべてを一人に任せてしまう店が多い。

  • 調理技術
  • 売上管理
  • マネジメント

「叱る」=「指導」だと誤解している店長も多いのが現実。

3.労働時間が長い

・仕込み
・閉店後の片づけ
・売上計算

4.新人教育の丸投げ

「今日入った新人をよろしく」
「とりあえずホール全部覚えて」

これは離職率を劇的に高めます。


リベンジ退職が会社にもたらすダメージ

1.人員不足による店舗運営の停止

飲食店は1人にかかる負担が大きく、突然辞められると営業継続が難しくなる店も。

2.教育コストの損失

飲食業の新人育成には平均して15〜50万円相当のコストがかかります。

3.SNSでの悪評拡散

1つの投稿が求人応募の低下 → 売上減少 → 採用難の悪循環を生むことも。

4.内部情報の流出

企業ブランドに深刻な打撃。
・衛生面
・従業員の扱い
・厨房の様子


法律的に注意すべき点

1.退職は基本的に“自由”

民法628条により、期間の定めのない社員のような労働者は退職を申し出れば2週間で辞められます。

2.引き継ぎ拒否で損害賠償は?

結論:ほぼ認められません。

理由:
従業員には「引き継ぎ義務」よりも「退職の自由」が優先されるため。

3.会社が絶対にNGな行為

・退職届の受理拒否
・私物を返さない
・損害賠償の脅し
・退職後のSNS監視で直接連絡

これは法的トラブルにつながります。


リベンジ退職を防ぐ実務対策(飲食店向け)

1.シフトを属人化しない

特定の人に負担が集中した瞬間、退職の引き金になります。

2.店長のマネジメント教育

店長の言動が退職原因の8割と言われるほど重要。

3.新人教育マニュアルの作成

初日〜1週間の流れを文章化するだけで離職率は大幅改善。

4.相談窓口の設置

第三者が間に入るだけで「爆発」を回避できます。

5.有休取得ルールの明文化

ブラック感を排除するための必須措置。


当事務所からのアドバイス

飲食店の離職率は全産業の中でも突出しています。
しかし、離職する従業員の多くは「最後まで頑張ろうとしていた人」です。

辞めた後に、「もう無理だ、裏切られた」と感じるほど追い詰められ、“リベンジ目的の退職” に至るケースがほとんど。

店舗を守る最大のポイントは「日常の小さな不満の解消」です。

当事務所では、飲食店に特化したサポートを提供しています。

  • 店長教育
  • 就業規則整備
  • 労働時間管理
  • ハラスメント対策
  • LINE相談窓口の構築

「辞め方が強行された」「スタッフが突然来なくなった」「店長への不満が多く、離職が止まらない」こうしたお悩みがあれば、いつでもご相談ください。

リベンジ退職は“防げる問題”です。
今日の改善が、1年後の店舗の安定につながります。

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