飲食店の無断欠勤・メンタル不調対応
「昨日まで普通に出勤していたスタッフが、突然来なくなった…」飲食店では珍しくありません。
いわゆる、「ばっくれ」、「飛んだ」場合も多いのは事実です。
しかし対応を誤ると、「不当解雇」「未払い賃金請求」といった法的トラブルに発展することもあります。
今回は、無断欠勤・メンタル不調の際に経営者が取るべきをわかりやすく解説します。
✅ 初期対応
✅ 就業規則の定め方
✅ 内容証明と公示送達の使い方
目次
無断欠勤発生時の初期対応
🔹 感情的な連絡はNG
まずは電話・LINE・メールで「体調を心配している」旨を伝えます。
怒りの言葉をぶつけると、関係が悪化し再出勤が難しくなります。
🔹 記録を残す
・欠勤日
・連絡の有無
・送信したメッセージ
を時系列で記録。
これが後の法的証拠になります。
就業規則で明文化する「無断欠勤の扱い」
無断欠勤が長引いた場合の処理を明確にしておくことが、トラブル防止のカギです。
🧾 就業規則 記載例
(無断欠勤の扱い)
第○条
1.従業員が正当な理由なく無断で欠勤した場合は、懲戒の対象とする。
2.無断欠勤が連続3日間に及んだときは、会社は従業員に対し、電話・電子メールまたは書面により連絡を求める。
3.それでも連絡がない場合、会社は内容証明郵便にて「出勤依頼書」を送付する。
4.内容証明郵便発送後、7日以内に連絡がない場合は、当該従業員は退職の意思表示をしたものとみなし、無断欠勤初日をもって自己都合退職とする。
5.ただし、事故・入院などやむを得ない事情があると会社が認めた場合はこの限りでない。
内容証明による正式な通知
連絡が取れない場合は、以下のような内容証明郵便を送ります。
📄 文例(出勤依頼書)
「○月○日より無断で欠勤されています。
○月○日までにご連絡・出勤がない場合は、退職の意思ありとみなし、就業規則第○条に基づき自己都合退職として処理いたします。」
内容証明郵便は「いつ・どんな文面を送ったか」を法的に証明できる重要書類です。
それでも連絡がない場合:「公示送達」という最終手段
「内容証明を送ったが戻ってきた」「転居先不明」「全く反応がない」場合、公示送達という手続きを取ることができます。
🔹 公示送達とは
裁判所の掲示板などに文書を掲示することで、「一定期間経過後に相手に届いたとみなす」制度です。
つまり、本人が実際に読まなくても、法的に“通知済み”と扱えるわけです。
🔹 公示送達を検討するケース
- 内容証明が「宛先不明」「転居先不明」で戻ってきた
- 連絡手段がすべて途絶えている
- 社会保険や給与支払などの最終整理を進めたい場合
🔹 手続きの流れ(簡略)
- 相手の住所に内容証明を送る(不達確認)
- 管轄の簡易裁判所に「公示送達申立書」を提出
- 裁判所掲示板に掲示(約2週間程度)
- 掲示期間満了後、正式に送達されたものとみなされる
これにより、法的にも「通知義務を果たした」と扱われ、自己都合退職・雇用保険喪失手続などを進めることが可能になります。
メンタル不調が関係している場合の注意点
無断欠勤の背景が「うつ病」「適応障害」などのメンタル不調であるケースもあります。
その場合は、
- 医師の診断書を確認
- 必要に応じて休職制度を適用
- 無理な出勤要請を控える
など、本人の健康を最優先に対応しましょう。
事前に防ぐための労務管理ポイント
✅ 無断欠勤・退職の取扱いを就業規則に明文化
✅ 欠勤連絡のルール(誰に・いつまでに)を全員に周知
✅ メンタルケア面談・店長教育の定期実施
💬 高田馬場労務事務所からのアドバイス
「突然来なくなったスタッフ」対応は、人情より証拠と手順が大切です。
無断欠勤・メンタル不調・連絡不能時は、就業規則 → 内容証明 → 公示送達という法的三段構えでの管理をおすすめします。
就業規則の文言整備や内容証明・公示送達のサポートは、👉 お電話や お問い合わせフォーム から、お気軽にご相談ください。


