年収3,000万円でも整理解雇は有効?~三菱UFJ事件に学ぶ「業務廃止×高年収社員」の解雇リスク【東京地判令和6年9月20日】~
「年収が高い社員は簡単に解雇できない」
「会社が黒字なら整理解雇は無理では?」
このような疑問をお持ちの飲食店経営者・企業経営者の方も多いのではないでしょうか。
2024年9月20日、年収3,000万円超のアナリストを整理解雇した事案について、東京地裁は 「解雇は有効」 との判断を示しました。
目次
事件の概要【三菱UFJ事件】
当事者と雇用形態
- 原告:X(アナリスト)
- 被告:Y銀行(MUFGグループ)
- 雇用形態:特別嘱託
- 職務内容:
ジャパンストラテジスト
(日本を中心とした経済・金融情報を内外顧客向けに発信するアナリスト)
年収水準
- 令和2年以降の年収:賞与込みで3,000万円超
一般的な労働者と比較しても、極めて高額な報酬水準です。
業務廃止と整理解雇に至る経緯
業務集約の決定
MUFGグループ内では、Y銀行、A社の間で円金利リサーチ機能が重複していました。
そのため、経営判断として、円金利リサーチ業務をA社に集約、Y銀行の当該業務は廃止という決定がなされました。
雇用引継ぎの打診と拒否
Y銀行は、A社に対してXの雇用引継ぎを打診
しかし、A社はこれを拒否。
会社が行った「解雇回避努力」
Y銀行は、いきなり解雇に踏み切ったわけではありません。
3回の面談を実施
令和5年5月以降、合計3回の面談を実施。
具体的な提案内容
為替セールス業務のポスト
- 年収:約2,000万円
- 他の総合職より高水準
退職の場合の条件提示
- 再就職支援金として約4,600万円を支給
賃金を下げて別リサーチ業務
- 職務内容変更
- 処遇引下げ
Xの対応
Xは、①為替セールス業務、②退職条件、③条件変更案をすべてを拒否
裁判所の判断ポイント
雇用契約の職務限定性
裁判所は、付随業務は含まれるものの「ジャパンストラテジスト業務に限定する合意があった」と認定しました。
👉 職務限定合意は存在
👉 しかし、それだけで解雇無効とはならない
人員削減の必要性
裁判所は次のように判断しています。
- 業務集約は合理的な経営判断
- それに伴う人員削減の必要性は認められる
- MUFGが多額の利益を上げていることをもって
「人員削減の必要性がない」とは言えない
👉 「黒字企業=整理解雇不可」ではない
解雇回避努力の相当性
裁判所は、雇用引継ぎの打診、年収2,000万円の別ポスト提案、約4,600万円の退職支援金を総合し、同程度の賃金維持や新たな職務創設まで会社に求める必要はないと判断しました。
結論:整理解雇は有効
裁判所は、整理解雇の必要性、人員選定の合理性、手続の相当性、解雇回避努力をすべてを満たしているとして、本件解雇は合理的理由があり、社会通念上相当と結論づけました。
飲食店経営者への実務的ポイント
ポイント① 年収の高さは決定打にならない
- 年収が高い
- 役職が上位
それだけで解雇が無効になるわけではありません。
ポイント② 業務廃止は「整理解雇の王道理由」
- 店舗閉店
- メニュー縮小
- セントラルキッチン化
飲食業でも、業務廃止・集約はよくある話です。
ポイント③ 解雇回避努力は「現実的範囲」でOK
裁判所は、無理な職務創設、同条件維持の強要までは求めていません。
👉 提案の中身とプロセスが重要
当事務所からのアドバイス
飲食業では、突然の業態変更、人件費高騰、売上減少により、人員整理を検討せざるを得ない場面が増えています。
しかし、手順を誤る、記録を残さない、感情的に進めると、後から解雇無効・高額請求につながるリスクがあります。
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