従業員10人未満でも就業規則を作るべき4つの理由
「うちは従業員が10人未満だから、就業規則はいらないですよね?」
飲食店経営者の方から、非常によくいただく質問です。
確かに、労働基準法では「常時10人以上の労働者を使用する事業場」に就業規則の作成義務があります。
しかし、10人未満だから作らなくていい=作らない方がいい、ではありません。
むしろ、飲食店ほどトラブルが起きやすく、人の入れ替わりが多く、感覚的な運営になりやすい業種はありません。
目次
就業規則は10人未満なら本当に不要?
労働基準法のルール
労働基準法第89条
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければならない
✔ 10人未満:作成義務なし
✔ 10人以上:作成義務あり+届出義務あり
ここまでは、よく知られているルールです。
「義務がない=不要」ではない
実務上、10人未満の飲食店で起きているトラブルは、次のようなものです。
- 「そんなルール聞いていない」と言われる
- 遅刻・欠勤・当日欠勤への対応がバラバラ
- 辞める・辞めさせる際に揉める
- 未払い残業代を請求される
- 労基署から説明を求められる
これらの多くは、就業規則がない、または機能していないことが原因です。
10人未満でも就業規則を作った方がいい4つの理由
理由①「ルールがない=社長の主観経営」になる
飲食店では、ベテランには甘く、新人には厳しい、忙しい日はルールが変わるといった属人的運営になりがちです。
従業員側から見ると、「結局、社長の気分次第」となり、不満・不信感の温床になります。
就業規則は、社長を縛るものではなく、社長を守るものです。
理由② トラブル時の「判断基準」になる
例えば、無断欠勤が続いた、SNSで店の悪口を書いた、シフトを守らない、このとき、就業規則があれば「ルールに基づいて対応した」と説明できます。
なければ、すべてが後付け説明になり、トラブルが長期化します。
理由③ 労基署・労働局対応で圧倒的に有利
10人未満でも、労基署の調査、労働局あっせん、弁護士からの内容証明は普通に来ます。
このとき、 就業規則がある、 内容が実態に合っている
これだけで、対応の難易度が大きく変わります。
理由④ 「辞め方・辞めさせ方」のルールが決まる
飲食店で一番揉めやすいのが、退職・解雇です。
- 何日前に言えばいい?
- 突然来なくなった
- 即日辞めたいと言われた
これを感覚で対応すると失敗します。
ひな形の就業規則をそのまま使う危険性
ネットのひな形が危険な理由
よくあるパターンです。
- 他業種向け(製造業・事務職)
- 実態と合わない労働時間
- 使っていない制度が書いてある
- 最新の法改正に未対応
これ、労基署や裁判では「不利な証拠」になります。
「書いてあること=守らなければならない」
就業規則は、書いたら終わりではなく、書いた瞬間から「会社の約束」です。
ひな形をそのまま使う=自分で自分の首を絞めることもあります。
就業規則は労基署に届出しないと無効?
結論:効力は届出ではなく「周知」で発生
誤解が非常に多いポイントです。
✔ 就業規則の効力要件
→ 従業員への周知
届出は義務(10人以上の場合)ですが、効力とは別問題です。
周知方法の例
- 事務所への備え付け
- 書面交付
- 社内共有フォルダ
- クラウド閲覧
「いつでも見られる状態」が重要です。
金庫にしまってある就業規則は有効?
無効になる可能性が高い
- 社長しか見たことがない
- 入社時に説明していない
- 存在自体知られていない
この状態では、就業規則としての効力は認められません。
飲食店の就業規則で必ず押さえるべきポイント
- 労働時間・休憩・休日
- シフトの決め方
- 遅刻・欠勤・当日欠勤
- 残業の考え方
- 服務規律(SNS含む)
- 懲戒処分
- 退職・解雇
※「使える内容」に落とし込むことが最重要です。
当事務所からのアドバイス
就業規則は、作ることよりも運用できることが重要です。
当事務所では、飲食業特化、現場実態ヒアリング、労基署対応を前提とした、実戦型就業規則を作成しています。
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