「突然、労働審判を起こされた…」そのときどうする?


「元従業員から裁判所から書類が届いた」
「労働審判申立書と書かれているが、何をすればいいかわからない」

これは、飲食業の経営者・店長から非常に多いご相談です。

飲食業は、「人の入れ替わりが多い」、「正社員、アルバイト、パート、外国人労働者が混在」、「長時間労働・残業代トラブルが起こりやすい」といった特性から、労働審判の申立てを受けやすい業種でもあります。


労働審判とは何か?

労働審判制度の概要

労働審判とは、労働者と事業主(会社)との間の労働トラブルを、迅速・簡易に解決するための裁判所の制度です。

正式には、「労働審判法」に基づく制度で、全国の地方裁判所で行われています。


労働審判の目的

労働審判の最大の目的は、長期化しがちな労働訴訟をできるだけ短期間で話し合い(調停)を中心に解決することです。

そのため、原則3回以内の期日で結論が出るという点が大きな特徴です。


労働審判と通常訴訟の違い

項目労働審判通常の訴訟
解決までの期間約3〜4か月1〜3年以上
回数原則3回以内多数
重視される点話し合い・実情法律論・証拠
費用比較的低い高額になりやすい
結果審判 or 調停判決

飲食業の場合、「早く終わらせたい」、「営業に集中したい」という理由から、労働審判での解決を選ばれるケースが非常に多いです。


労働審判は誰が判断する?

労働審判委員会とは

労働審判は、労働審判官1名+労働審判員2名3名で構成される「労働審判委員会」が担当します。

  • 労働審判官:裁判官
  • 労働審判員(使用者側):経営・労務の専門家
  • 労働審判員(労働者側):労働問題の専門家

つまり、現場感覚を重視した判断がなされやすいのが特徴です。


飲食業で多い労働審判の内容

未払い残業代請求

最も多いのが残業代の未払いです。

  • 固定残業代が無効と主張された
  • タイムカードが実態と違う
  • 店長だから残業代は出ないと思っていた

上記のケースは、労働審判で頻繁に争われます。


解雇・雇止めの有効性

  • 急に来なくなったので解雇扱いにした
  • 試用期間中だから簡単に辞めさせられると思っていた
  • アルバイト契約を更新しなかった

これらが不当解雇・雇止めとして争われることも少なくありません。


ハラスメント関連

  • 店長の指導がパワハラだと主張
  • 厳しい叱責、罵声
  • 長時間の説教

飲食業では「指導」と「パワハラ」の線引きが問題になりやすく、労働審判でも重要な争点になります。


労働審判の流れ

労働審判申立書が届く

ある日突然、裁判所から「労働審判申立書」が届きます。

この時点で無視は絶対にNGです。


答弁書の提出

会社側は、指定期限までに「答弁書」を提出する必要があります。

ここで「何を争うのか」、「どこまで認めるのか」、「証拠は何か」を整理します。


第1回期日

実は、労働審判は第1回期日が勝負です。

  • 事実関係の確認
  • 心証形成
  • 調停の打診

これらが一気に行われます。


調停成立 or 審判

  • 話し合いがまとまれば調停成立
  • まとまらなければ審判が出されます

審判に不服がある場合、2週間以内に異議申立てをすると、通常訴訟へ移行します。


飲食業が労働審判で不利になりやすい理由

証拠が残っていない

  • タイムカードがない
  • シフト表を保存していない
  • LINEや口頭指示だけ

これは非常に不利です。


就業規則が整備されていない

  • 解雇理由が曖昧
  • 残業ルールがない
  • ハラスメント規定がない

就業規則は労働審判における最大の防御ツールです。


「うちは小さい店だから」という思い込み

労働審判では、会社規模は基本的に関係ありません。

小規模飲食店でも、法律は同じように適用されます。


労働審判を防ぐために飲食店が今すぐできること

✔ 勤怠管理の徹底

✔ 就業規則の整備

✔ 固定残業代の適正設計

✔ 解雇前の専門家相談

✔ ハラスメント対策研修


社会保険労務士からのアドバイス

労働審判は、「起こってから対処」では遅いケースが多いです。

特に飲食業では、日常の労務管理の積み重ねがそのまま裁判所での評価につながります。


「この対応で大丈夫か不安」
「労働審判を起こされそう」

そういう時は問題が大きくなる前にお電話や  お問い合わせフォーム から、お気軽にご相談ください。