飲食店の家族従業員と社会保険~個人事業と法人で全く違う「適用事業所」の考え方~


飲食業の社会保険は「事業形態」で決まる

飲食店では、家族が手伝っている、親族を従業員として雇っているというケースが非常に多く見られます。

そして社会保険について、次のような誤解が後を絶ちません。

「従業員が5人以上いるから、社会保険は必ず加入ですよね?」

👉 飲食業の個人事業では、これは誤りです。


社会保険の適用事業所の基本ルール

社会保険(健康保険・厚生年金)は、事業所が「適用事業所」に該当するかどうかで決まります。

適用事業所には、次の2種類があります。


強制適用事業所

次のいずれかに該当すると、必ず社会保険に加入します。

✔ 法人の事業所

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 医療法人 等

👉 業種・人数に関係なく強制適用


✔ 法律で定められた業種の個人事業所

かつ、 常時5人以上の従業員がいる場合、この「法律で定められた業種」に飲食業は含まれていません。


任意適用事業所

飲食業の個人事業は、従業員が5人以上いても、常時10人、20人いても 社会保険は強制ではありません

事業主が申請し、従業員の 2分の1以上の同意 を得てはじめて社会保険に加入します。


では、家族従業員の社会保険はどうなる?

ここが重要な実務ポイントです。


個人事業(飲食店)の場合

① 事業主本人

  • 社会保険には加入不可
  • 国民健康保険・国民年金

② 家族従業員

個人事業の飲食店が任意適用の申請をしていない限り、👉 家族従業員も社会保険には加入しません

  • 一般従業員
  • 家族従業員

いずれも同じ扱いです。


⚠ よくある誤解

❌「家族だけは社会保険に入れない」
❌「一般従業員は不要だが家族は必要」

👉 任意適用かどうかがすべてです。


法人の飲食店の場合は全く別

一方、法人経営になると話は一変します。


法人の社会保険ルール

  • 法人=強制適用事業所
  • 従業員数・業種は一切関係なし

👉 必ず社会保険加入


家族従業員の扱い(法人)

配偶者、親、子であっても、実態として働いている、報酬を受けている場合、 原則、社会保険加入


被扶養者にできるケース・できないケース

被扶養者にできるのは?

  • 働いていない
  • 年収130万円未満
  • 生計維持関係あり

など、扶養要件を満たす場合のみ


❌ 被扶養者にできないケース

  • シフトに入っている
  • 給与を受け取っている
  • 実質的に従業員

👉 被保険者になります


年金事務所調査で見られる飲食店特有のポイント

  • 法人化後も個人時代の感覚のまま
  • 家族を「なんとなく扶養」にしている
  • 給与を経費処理している

これらは 必ず確認されます


まとめ|飲食業の社会保険はここを押さえる

✔ 個人事業の飲食店は任意適用
✔ 5人以上いても強制加入ではない
✔ 法人になると即・強制適用
✔ 家族従業員も原則加入対象


飲食店経営者の方へ

飲食業は、以下のタイミングで社会保険の誤りが一気に表面化します。

  • 個人 → 法人
  • 人員増加
  • 調査対応

「うちは個人事業だから大丈夫」
「家族だから問題ない」

そう思っている間に、法人化で一気にリスクが顕在化するケースも多いです。


✔ 個人事業の社会保険の考え方
✔ 法人化後の家族従業員の扱い
✔ 任意適用にするべきかどうか

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