【飲食業専門社労士が解説】無断欠勤・遅刻・早退が多発!“モチベーション低下”の真因と労務対応策


無断欠勤・遅刻・早退が増える「本当の理由」

飲食店で「最近、スタッフがよく遅刻する」「連絡なしの欠勤が増えている」という声を多く聞きます。
実はこれ、単なる“怠け”ではなく、店舗運営や職場環境のシグナルであることが多いです。

よくある背景

  • シフト過多・休憩不足による疲弊
  • 店長や社員とのコミュニケーション不足
  • メンタル不調(不安・不満・ストレス)
  • 業務負荷の偏り(「できる人」に偏る)
  • 店舗内トラブル(人間関係・指示系統)

社労士の視点からの注意点

無断欠勤や遅刻が頻発する職場では、すでに労働時間管理や職場風土に課題が潜んでいます。
これを“個人の問題”として処理すると、退職者が続出し、採用コストも増加します。


まずやるべき3つの分析ステップ

勤務実態の把握

  • タイムカード・勤怠データを分析
  • 残業・早退・欠勤のパターンを可視化
  • 特定曜日・ポジション・上司との関連を確認

コミュニケーションの現状確認

  • 店長とスタッフの1on1ミーティング
  • チャット・LINEグループのやりとり内容を再点検
  • 「言いたいことを言えない」雰囲気がないか確認

労働条件・シフト設計の再点検

  • 休憩が実際に取れているか
  • “週5日連勤”などの過重スケジュールがないか
  • 短時間勤務者の希望と実勤務の差異を確認

改善のための具体的ステップ

ステップ①:勤務時間と休憩ルールの見直し

  • 休憩を取らせる責任は会社側にある
  • 忙しい時間帯を避けたシフト休憩制の導入
  • 休憩未取得が続く場合は、シフト設計を再構築

ステップ②:シフトの“相談制”を導入

  • 「固定シフト」から「希望申告+相談制」に
  • 変更依頼ルールを明文化(例:前日までに申請)
  • LINEやアプリで“確認・承認”の痕跡を残す運用

ステップ③:店長のマネジメント教育

  • 感情的対応を避け、対話型マネジメント
  • 叱責よりも「なぜ来れなかったのか」を聴く姿勢
  • 勤怠不良を早期に察知する“声かけ文化”の育成

メンタルヘルスと職場コミュニケーション

メンタル不調を疑うサイン

  • 無断欠勤が「連続」して起こる
  • 店長との接触を避ける
  • 連絡を“既読スルー”する

この場合、まずは産業保健的な配慮対応を行う必要があります。
小規模店舗では、店長自身が「初期対応者」となります。

労務上のポイント

  • 欠勤連絡がない場合でも“安否確認”を必ず行う
  • 3日以上の無断欠勤には書面での催告
  • 精神的な不調が疑われる場合は、医療機関受診を案内
  • 一律処分ではなく、事情聴取と記録を残す

就業規則への落とし込み

無断欠勤や遅刻への対応を明文化することで、公平な処理と抑止力を両立できます。

記載例

第○条(無断欠勤・遅刻等)

  1. 正当な理由なく遅刻・早退・欠勤した場合は、懲戒の対象とする。
  2. 無断欠勤が3日以上に及んだ場合は、退職の意思表示があったものとみなし、自己都合退職として扱うことがある。
  3. 無断欠勤が発生した場合は、会社は安否確認のうえ、書面による通知を行う。

店舗としての予防策まとめ

  1. 勤怠の「見える化」(タイムカード+店長週報)
  2. 店長・社員の労務研修(パワハラ防止+勤怠管理)
  3. スタッフアンケートによる現場の声の吸い上げ
  4. モチベーション指標(シフト希望率、遅刻率など)の導入

当事務所からのアドバイス

無断欠勤・遅刻は“末期症状”です。
その前段階で「兆し」を察知し、仕組みで防ぐのが飲食店の労務管理の要です。

  • シフト変更・欠勤ルールの設計
  • 店長向けマネジメント研修
  • 就業規則の再設計(懲戒・欠勤条項の見直し)
    などを行っています。

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