中学校校長がコンビニのコーヒーで不正で懲戒免職処分に違和感

先日、各メディアで報道されましたが、懲戒免職に違和感を感じました。

yahoo!ニュースより
中学校校長がコンビニのセルフ式コーヒーで不正 レギュラーサイズで購入もラージサイズの量注ぐ 懲戒免職処分に

兵庫県の市立中学校の校長が、2店舗のコンビニのセルフ式コーヒー抽出機で、レギュラーサイズを購入したにもかかわらずラージサイズの量を注いで持ち帰る不正を7回したとして、刑事事件は不起訴となったものの、懲戒免職処分となったとの報道がありました。

レギュラーサイズは110円、ラージサイズは180円だったので、7回の差額は490円です。

たしかに校長先生という立場からすると、今後中学校で勤務することは、極めて困難だとは思いますが、懲戒免職は厳しい処分だと感じました。

懲戒免職と懲戒解雇

懲戒免職と懲戒解雇は、どちらも従業員に対して行われる最も重い懲戒処分ですが、対象者が異なります。

懲戒免職は公務員に対して、懲戒解雇は民間企業の従業員に対して適用されます。公務員は「免職」され、企業に雇われている従業員は「解雇」されます。

中学校の校長は地方公務員ですので、懲戒免職となりましたが、懲戒解雇とほぼ同様の処分です。

懲戒解雇の正当性

労働契約法第15条では、懲戒解雇は「労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効となる。」と規定しています。

<懲戒解雇が認められる場合>

  • 窃盗や横領、傷害など、刑法犯に該当する行為があった場合。
  • 賭博などによって職場規律や風紀を乱し他の労働者に悪影響を及ぼす場合。
  • 当該業務に必要となる資格や免許を有していないなどの経歴詐称。
  • 正当な理由なく2週間以上の無断欠勤して出勤の督促にも応じない場合。
  • 遅刻や中退が著しく、再三の注意や処分によっても改善されない場合。
  • 他の事業所へ転職をし、労務を行なえない場合。

本件であれば、「窃盗や横領、傷害など、刑法犯に該当する行為があった場合。」に該当しますので、「懲戒免職」でもしょうがない気もします。

懲戒(免職)解雇と退職金

懲戒解雇されると、民間企業であれば就業規則で退職金の全部または一部不支給が規程されていることがほとんどです。
地方公務員も同様に全部または一部不支給の規程がされていると思います。

もし、「懲戒免職=退職金不支給」であれば、本件懲戒免職が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当」といえるかどうかですが、刑事事件は不起訴になったこと、不正した金額が490円だったこととの2つと退職金不支給を比べた時に、あまりにもバランスを欠く気がしました。

校長先生の年齢は報道ですと59歳ですので、定年が間近だったと思います。
地方公務員の退職金は大企業並みにようですので、2000万円はあったのではないでしょうか?

私の懲戒解雇のイメージは、「退職金が不支給になっても仕方がないこと=懲戒解雇」という感覚です。

不正行為の内容、金額と退職金2000万円は、客観的に合理的、社会通念上相当といえるのでしょうか?

報道ですとかなり反省しているようですから、本人から「自己都合退職」の申し出があったと思います。
申し出があれば、自己都合退職で、申し出がなければ、「退職勧奨」、退職勧奨を応じないなら「諭旨解雇」の順で提案すると思います。