健康保険証「12月1日で失効」のはずが…実は2025年3月末まで“使える”特例措置


12月1日で紙の保険証が「すべて無効」だったはずが、急転直下の特例措置

2025年12月1日──
この日を境に、従来の「紙の健康保険証」はすべて有効期限が切れることが決まっていました。

理由は、
●新規発行停止(2023年12月)
●最長1年の経過措置(=2025年12月1日で終了)

のためです。

つまり、“紙の保険証は12月1日で完全終了し、翌2日からはマイナ保険証のみ”が政府方針でした。

ところが、厚生労働省が2025年11月12日に突如「特例」を発表。
周知不足により、12月以降の医療機関で大混乱が起きることが予測されたからです。


【重要】2025年3月31日までは「期限切れの保険証」も使える

厚労省の事務連絡によると、
期限切れの保険証であっても “保険資格の確認が取れれば” 来年3月末まで医療機関で使用OK。

▼医療機関は
・期限切れでも受診させてよい
・通常通り3割負担等でレセプト請求してよい
という運用が認められました。

そして驚くべき点は、この特例は、一般向け周知をしない方針であること。

つまり、「保険証が期限切れになって困惑する国民が続出する可能性が高い」というのが今回の問題の核心です。


健康保険資格確認証(資格確認書)とは何か?

紙の保険証の廃止に伴い、マイナンバーカードを保険証として利用しない人向けに発行されるのが
『健康保険資格確認証(資格確認書)』です。

しかし飲食店の現場では、この「資格確認証」が何なのか理解されていないケースが非常に多いです。

●資格確認証の基本

  • マイナ保険証に移行しない人向けの “紙の受診用証明書”
  • 有効期間は最長5年
  • 2024年12月1日より本格的に使用される予定だった
  • 紙の保険証とほぼ同じ内容

●何が違うのか?(保険証 vs 資格確認証)

項目健康保険証資格確認証
目的医療機関受診用マイナ保険証を使わない人の受診用
発行主体保険者同じ(協会けんぽ、健保組合等)
使用期間2024/12/1で終了予定→特例で2026/3末まで可最長5年
記載情報氏名/保険者名/記号番号/有効期限など健康保険証とほぼ同じ内容

結論:
資格確認証は「保険証の代わり」ではあるが、恒久的なものではなく、あくまでマイナ保険証導入までの“つなぎ”である。


飲食店で起きる現場トラブルとは?

飲食業は、若年層から高齢者まで幅広い従業員が働いており、
「マイナ保険証を使いたくない」「カードを失くした」などの声がよくあります。

今回の特例により、特に次の3つの場面で混乱が予想されます。

①12月1日以降、従業員が「保険証失効」に気付かない

飲食店では、従業員が自宅で体調不良→病院へ行く際に期限切れの保険証を持って行く可能性が非常に高い。

医療機関によっては知識が共有されておらず、
・窓口で足止め
・一時的に10割負担
などのトラブルが起こり得ます。

②外国人従業員の理解不足

特に留学生・技能実習生は制度理解が難しく、「期限切れの保険証を使っても良いのか?」「資格確認証とは何か?」が伝わっていないケースが多い。

③労務担当者が勘違いする

期限切れの保険証を見て「この人もう社会保険じゃないのでは?」と間違えてしまう可能性も。


社労士としての結論:飲食店が取るべき実務対応

以下を社内周知することが最重要です。


①従業員向け【簡易案内文】を作りましょう

店内掲示・LINEグループ・シフトアプリ等で次を告知:


【従業員のみなさんへ】
●12月1日以降、紙の保険証は期限が切れます
●ですが、2026年3月31日までは期限切れでも使えます
●マイナ保険証がない人は「健康保険資格確認証」が発行されています


たったこれだけで現場の混乱は大幅に下がります。


②新しく入社する従業員には資格確認証の存在を必ず説明

飲食店では「保険証が届くまで2〜3週間かかる時期」が多く、入社直後の受診でトラブルが起こります。

そのため入社説明時に「健康保険証は発行されないので、マイナ保険証じゃない場合は資格確認証を使ってください」と案内することで混乱を防げます。


③医療機関で一時10割負担を求められた場合の案内

念のためテンプレートを作りましょう。


【医療機関で10割負担を求められた場合】
①受診は継続してください
②明細書を必ず受け取り、社労士・事務に提出
③後日、保険者に請求し差額分が戻ります


④外国人従業員向け説明文も用意すべき

英語、中国語、ベトナム語など、短くても良いので「期限切れでも3月末まで使える」「資格確認証という別の書類がある」ことを明記します。


⑤マイナ保険証の登録サポートを“強制なしで”行う

厚労省は基本的にマイナ保険証での受診を求めていますが、企業が従業員に強制するとトラブルになります。

“希望者には案内する”という距離感が最も安全です。


今後、飲食店が注意すべき3つの大きな流れ

2026年に向けて、以下の変化が予想されます。


①資格確認証の発行が急増 → 企業への問い合わせも増える

従業員からの「紙の保険証が来ません」「これは何ですか?」が確実に増えています。


②マイナ保険証の利用率が低迷したまま → 過渡期の混乱は長期化

現在の利用率は37.1%。
政府の想定より大幅に低い状態です。

そのため、“紙の保険証廃止の完全移行は、予想より長引く可能性が高い”。


③事業主は後日請求やトラブル相談が増える

飲食店は人の入れ替わりが多いため、制度移行のタイミングごとに新たな混乱が発生します。


まとめ:飲食店に必要なのは“事前周知”と“迅速対応”

今回の制度変更は、国民への周知が極めて不足しており、「12月1日で全員の保険証が使えなくなる」という誤解が広がりやすい状態です。

しかし実際は、期限切れでも2026年3月末まで使用可能。
資格確認証でも受診可能。
マイナ保険証は“推奨”であり強制ではない。

この3点を押さえるだけで現場の混乱は大幅に減ります。


当事務所からのアドバイス

飲食店は、制度移行期にトラブルが最も起きやすい業種です

特に以下の方は注意が必要です。

  • 外国人が多い店舗
  • アルバイトの出入りが激しい店
  • 複数店舗を管理しているオーナー
  • 社会保険担当者が1名しかいない場合
  • 店長が労務に詳しくない店舗

制度変更のたびに、「受診できない」「10割払わされた」「資格確認証って何?」という相談が急増します。


労務に影響が出る制度変更は今後も続きます。

当事務所では、社会保険・労働法の無料相談(初回30分)を受け付けています。


▼相談できる内容

・従業員の保険証トラブル
・資格確認証の説明方法
・外国人従業員の社会保険
・アルバイトの加入判断
・雇用契約書の見直し
・労務リスクの棚卸し
など何でもご相談ください。


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