静かなる退職とは?~飲食店で今、確実に増えている“見えにくい人材リスク”~
目次
「辞めていないのに、戦力にならない」スタッフが増えていませんか?
最近、「注意しても最低限のことしかしない」、「指示されたこと以外は一切やらない」、「シフト以外の協力を拒む」、「定時になると即帰る」そんなスタッフに心当たりはありませんか?
それは今、「静かなる退職」と呼ばれる現象かもしれません。
飲食業界では人手不足が慢性化している一方で、「辞めないけれど、積極的に働かない」人材が増えているという新たな問題が顕在化しています。
静かなる退職とは?
静かなる退職の意味
静かなる退職とは、会社を辞めるわけではないが、出世や評価を目指さず、最低限の業務のみを淡々とこなす働き方を指します。
本人の意識としては、「言われたことはやっている」、「契約通りに働いている」、という感覚です。
具体的な行動パターン
飲食店でよく見られる例は以下の通りです。
- 言われたこと以外は一切しない
- 新人指導・フォローを拒む
- クレーム対応を極力避ける
- 売上向上や改善提案をしない
- 出世・役職に興味がない
- 飲み会や社内イベントに参加しない
- 残業は一切せず、定時で帰る
一見すると「問題行動」ではありませんが、店舗全体の空気・生産性にじわじわ悪影響を与えるのが特徴です。
なぜ今、「静かなる退職」が増えているのか?
頑張っても報われない経験
飲食業では、「忙しいのに昇給が少ない」、「責任だけ増えて給料が変わらない」、「評価基準が不透明」といった不満を抱えるスタッフが多くいます。
「頑張る=損をする」そう感じた瞬間、人は最低限モードに切り替わります。
長時間労働・人手不足の反動
慢性的な人手不足により、「休憩が取れない」、「突発的なシフト変更」、「サービス残業」を経験したスタッフほど、自分を守るために一線を引く傾向があります。
若年層の価値観の変化
特に20〜30代では、「出世=幸せとは限らない」、「プライベートを優先したい」、「心身を壊してまで働きたくない」という考え方が主流になっています。
これは怠けではなく、価値観の変化です。
静かなる退職は「問題社員」なのか?
必ずしも問題ではありません
法律上、労働契約で定められた業務を行っている限り、違法ではありません。
- 定時退社 → 問題なし
- 残業を断る → 問題なし
- 出世を望まない → 問題なし
経営者側が「やる気がない」「協調性がない」と感じても、それだけで指導・処分はできません。
逆に、経営側が注意すべきポイント
以下はトラブルになりやすい対応です。
- やる気がないと叱責する
- 暗黙の残業を強要する
- 飲み会参加を評価に反映させる
- 「みんなやっている」という同調圧力
これらは、パワハラ・評価トラブルに発展するリスクがあります。
飲食店で放置すると起きる3つのリスク
周囲のモチベーション低下
1人が最低限モードになると、「なぜ自分だけ頑張っているのか?」
現場の負担が一部に集中
「店長」、「ベテランスタッフ」に負担が集中し、本当の戦力が辞めてしまうケースも少なくありません。
サービス品質・売上の低下
- 気配りが減る
- クレーム対応が雑になる
- 店舗改善が止まる
結果として、売上・口コミ・リピート率に影響します。
経営者が取るべき正しい対応策
「やる気」ではなく「役割」を明確にする
曖昧な期待が、不満を生みます。
このポジションは何を求めているのか、どこまでやれば評価されるのかを、言語化・文書化しましょう。
評価制度を見直す
- 頑張っても変わらない
- 評価が感覚的
この状態では、静かなる退職は防げません。
小規模店舗でも、昇給基準、リーダー要件を簡単に決めるだけで効果があります。
「選べる働き方」を用意する
すべての人が、店長候補、幹部候補である必要はありません。
現場専念型、時間重視型など、複線型人材設計が重要です。
就業規則・労務管理の見直しが重要です
静かなる退職の背景には、労務管理の曖昧さが隠れていることが多くあります。
- 評価基準がない
- 役割定義がない
- 注意・指導ルールが不明確
これらを放置すると、指導できない・辞めさせられない状態に陥ります。
社会保険労務士からのアドバイス
静かなる退職は、スタッフからの無言のサインです。
- 頑張っても意味がない
- これ以上は求められたくない
そう感じさせていないか、経営側も一度立ち止まる必要があります。
感情論ではなく、制度と仕組みで解決することが最善策です。
当事務所のサポート内容
当事務所では、飲食店専門として、「就業規則の見直し」、「評価制度の設計」、「問題社員対応の助言」、「店長向け労務研修」を行っています。
「注意できない」「どう扱えばいいかわからない」
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