雇用調整助成金の休業手当の金額が少ないわけ

平均賃金とは

雇用調整助成金で休業手当を平均賃金の6割以上支給することなど、「平均賃金」という言葉が出てきます。
平均賃金というのは、給料の平均という意味ではなく労働基準法の用語です。

平均賃金は、休業手当だけではなく、解雇予告手当、減給の制裁、または有給休暇の算定で使用することもあります。

労働基準法第12条
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

何言ってるかわかりませんね・・・

これを計算式にするとこのようになります。

平均賃金=直前の3箇月の賃金総額/直前の暦日数

ここで注意しなければいけないのが、暦日数なので出勤日数ではなくカレンダーの日数ですので、3箇月であれば、92日とか91日とかになります。

直前のというのは、賃金締切日から3箇月間です。

余談ですが、算定すべき事由の発生した日「以前」と法律にはあるので、本来であれば、発生した日を含めるはずなのですが、平均賃金の場合は、発生した日を含みません。

平均賃金の最低保証

暦の日数で計算すると、アルバイトの人などで出勤日数が少ない人の場合、平均賃金が少なくなります。
そこで、労働基準法では最低保証を設けています。

最低保証=直前の3箇月の賃金総額/直前の出勤日数×60%

実務的には、原則の平均賃金と最低保証の両方の計算をして高いほうを平均賃金とします。

雇用調整助成金で休業手当が少ないわけ

休業手当は、労働基準法では平均賃金1日分の6割以上と規定されています。

休業手当を労働基準法の平均賃金6割として支給する場合、出勤日数が少ない人だと最低保証の計算式の6割が休業手当になります。

休業手当=直前の3箇月の賃金総額/直前の出勤日数×60%×60%

当然少ないですよね。
労働基準法を知らない人が、平均賃金の6割が休業手当と聞くと、給料の6割くらいは保障されると思い込んでしまいがちです。