「タイムカード改ざん・不正を見抜く!飲食店で起こりやすい勤怠不正と防止策」〜勤怠DX・労基署対策まで〜
目次
飲食店の現場で「タイムカード不正」はなぜ起こるのか
飲食業は「現場任せの勤怠管理」になりやすい業種です。
朝と夜のシフト入替、学生アルバイト、社員・店長の裁量が大きい体制。
この環境こそが、「小さな不正」を見逃す温床となります。
「少しくらい」、「みんなやってる」という感覚が広がり、気づけば店舗全体が“改ざん文化”に。
タイムカードの正確性が崩れると、労働時間管理・給与計算・社会保険料すべてに影響し、経営上のリスクが一気に高まります。
アルバイトの「代理打刻・自己修正」不正の実態と対策
💥代表的な不正パターン
- 代理打刻(友人が代わりに打刻)
- 打刻忘れ後の自己修正
- 終業後の打刻放置
- 休憩虚偽申告
🔎現場でよくある誤解
「1分でもズレてると怒られるから、あとで直した」
「友達が遅れてくるって言ってたから押しておいた」
これらは“善意のつもりでも不正行為”です。
実労働時間と記録が一致しないだけで、後日「未払い残業」の根拠になります。
✅防止策
- 顔認証やICカード等の本人確認付き打刻システム導入
- 打刻修正は本人申請+管理者承認の2段階制
- 修正履歴は削除不可・ログ化(後述DX章で詳述)
- 打刻教育を初回研修で明確化
店長・社員による「残業隠し・改ざん」問題
💣なぜ店長が改ざんしてしまうのか
- 本社からの「人件費削減プレッシャー」
- シフトと実働の差を埋めたい
- 勤怠を“自分の評価”と勘違いしている
⚠️典型的な改ざん例
- 「閉店後作業は勤務時間に含めるな」と指示
- 休憩をしていないのに「休憩1時間入れておけ」と強制修正
- 「打刻ミスを直す」と称して退勤時間を短縮
🚨結果:リスクが経営に直撃
- 労基署調査での是正勧告
- 店長の懲戒・訴訟
- 現場の信頼崩壊
✅防止策
- 店舗管理者にも「勤怠改ざん=懲戒事由」と明記
- 本社側が打刻履歴を月次監査
- 勤怠・シフト・売上データを連携(システム化)
勤怠DXで実現する「不正防止と見える化」
💡勤怠DXとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、単に勤怠を「デジタル管理」するだけでなく、
データを活用して不正を防ぎ、リスクを見える化する仕組みを指します。
🧩具体的な導入ステップ
① クラウド勤怠システム導入
- 顔認証/指紋/スマホGPSで打刻
- 修正履歴・承認履歴が自動保存
- 打刻漏れや重複をAIが検知
主なシステム例:
KING OF TIME、ジョブカン、Touch On Timeなど。
② シフト・勤怠・給与の自動連携
- シフト通りに働いたかが自動照合
- 実働差異を自動抽出(改ざん検知)
- 給与計算時の「未承認打刻」を自動警告
③ 店舗モニタリング
- 管理者は全店の勤務データをクラウド上で可視化
- 不自然な「打刻修正回数」「毎日同時刻打刻」などを警告表示
④ AI分析による異常検知
- AIが「不自然な勤務パターン」を自動抽出
- “代行打刻”の兆候(同端末・同時刻の複数打刻)を通知
⑤ 電子証拠の保全
- 打刻・修正・承認すべてが「誰が」「いつ」「何を」したかログ化
- 改ざんが不可能な証拠として保存(後述:証拠保全リスク対応に有効)
🏁DX導入の効果
| 項目 | 効果 |
|---|---|
| 不正打刻 | 顔・指紋で本人確認 |
| 修正・削除 | 承認+ログ保存 |
| 店長改ざん | 管理権限分離 |
| 労基対応 | 証拠提出が容易 |
| 管理コスト | 月次監査が自動化 |
💬当事務所からのアドバイス
「紙タイムカード+Excel管理」では、改ざん検知も証拠保全も不可能です。
勤怠DXは“労務管理の保険”と考えるべきです。
労基署調査・証拠保全リスク対応
勤怠不正が発覚する最大のトリガーは「労基署調査」です。
⚖️労基署が見る“証拠”
- タイムカード・勤怠データ
- シフト表・日報・レジ締め時刻
- カメラ映像・LINE記録など
労基署は、これらを突合して整合性をチェックします。
改ざんや不一致が見つかると、「未払い残業の是正勧告」に直結します。
🧾証拠保全リスクとは
不正が発覚した際に、従業員側が打刻写真・LINE履歴・シフト表などを証拠化している場合があります。
紙やExcelのデータは「改ざん可能」と見なされ、会社側の証拠力が弱くなるのです。
✅防止のための実務対策
1️⃣ 勤怠データをクラウド保管(削除不可)
2️⃣ 修正履歴・承認履歴を自動保存
3️⃣ 店舗カメラ・POS・入退室ログと連動
4️⃣ 就業規則に「勤怠データを公式記録とする」明記
5️⃣ 調査対応マニュアルを整備(誰が対応するか明確に)
💥実例:労基署是正の実態
- 週40時間超勤務が打刻上「38時間」に修正されていた → 未払い残業120万円の支払い命令
- 店長が「閉店作業は勤務外」と扱っていた → 労基署が労働時間認定
🧭調査対応の基本
- 労基署から呼び出しが来たら、現状を把握し、日程を変更する必要があれば連絡
- 「記録がない」「不明」ではなく“データで説明”
- 書面・ログを整理して提出(専門家同行推奨)
高田馬場労務事務所からのアドバイス
勤怠不正・改ざんは、どの店舗にも起こり得る“人間の行動”です。
大切なのは「発生しない仕組み」をつくること。
私たちは飲食業専門の社労士として、
- 勤怠DX導入支援
- 就業規則の勤怠条項整備
- 労基署調査対応サポート
までをトータルで支援しています。
まとめ
信頼できる勤怠管理が、人材定着と労務安定の鍵
タイムカード不正は「現場あるある」ではなく“法違反”
DX導入で改ざん防止・証拠保全の両立を
👉 お電話や お問い合わせフォーム から、お気軽にご相談ください。


