飲食業での欠勤・遅刻に対する「罰金制度」は認められるのか?

飲食業では、アルバイトや従業員の遅刻・欠勤に対して「罰金」や「ペナルティ」を課すという話を耳にすることがあります。
しかし、実際にはこのような罰金制度は労働基準法に違反しており、原則として認められていません。
ここでは、労働法上の考え方や、合法な対応方法についてわかりやすく解説します。


労働基準法が定める「罰金制度」の禁止

労働基準法第16条では、労働契約に基づく義務不履行について、あらかじめ一定の金額を定めた違約金や損害賠償額の予定を設けることが禁止されています。
つまり、たとえ従業員が遅刻や欠勤をした場合でも、あらかじめ決められた罰金を徴収するルールは法律上無効となります。


罰金と「ノーワーク・ノーペイ」の違い

ノーワーク・ノーペイの原則とは

労働基準法では「賃金は、その労働に対して全額支払わなければならない」と規定されていますが、実際に働かなかった時間分の賃金は支払う必要がありません。
たとえば、始業時間に遅刻した場合は、その分の労働が提供されていないため、給与からその時間分を差し引く(控除する)ことは認められています。これが「ノーワーク・ノーペイ」の原則です。

罰金制度との違い

一方、罰金制度とは実際の労働提供の有無にかかわらず、一定の金額をあらかじめ定めて従業員に支払わせるものです。
このような制度は、実際に会社が被った損害額と関係なく金額を徴収するため、労働基準法第16条で禁じられているのです。


合法な対応:賃金控除と減給処分

賃金控除(ノーワーク・ノーペイ)の適用

遅刻や欠勤により実際に働いていない時間分は、正確な労働時間に基づいて給与から控除することが認められています。
たとえば、1時間の遅刻であれば、その1時間分の賃金を支払わなくても問題はありません。
ただし、控除は実際の未就労時間に限り、丸め(例えば15分単位に切り上げるなど)で不当に控除することは認められません。

減給処分の条件

一方で、減給という形で懲戒処分を行うことは、一定の条件(例えば「1回の減給額が平均賃金の1日分の半額以下」「1か月全体では月給の10%以内」など)を満たす場合に限り、認められるケースもあります。
ただし、これも労働者に不当に不利益を与えないよう、就業規則に明確な基準が記載され、従業員に周知されている必要があります。

参考:労働基準法における平均賃金とは?


まとめ:違法な罰金制度に注意を

飲食業に限らず、遅刻や欠勤に対してあらかじめ決められた金額を罰金として徴収する制度は、労働基準法に違反するため無効です。
実際の働かなかった分は、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき正確に給与から控除することが求められます。
また、懲戒処分としての減給を行う場合も、法定の上限を守り、就業規則に基づいて適正に運用する必要があります。

従業員としても、もし不当な罰金や過剰な控除を求められた場合は、労働基準監督署や社労士に相談するなどして、自らの権利を守ることが大切です。


このように、飲食業で欠勤や遅刻に対して罰金制度を設けることは、法律上認められていません。正しい労務管理と就業規則の整備が、企業と従業員双方のトラブル防止につながります。