定期健康診断も「労働時間」になる?
目次
飲食店でよくある「健康診断の疑問」
「健康診断って勤務時間扱いですか?」
「休日に受けさせたら給与は不要?」
「アルバイトにも受診させる必要がありますか?」
飲食業の現場では、定期健康診断の扱いがあいまいなまま運用されているケースが非常に多く見られます。
- シフト制で勤務時間が不規則
- 繁忙期は休みが取りにくい
- 正社員・パート・アルバイト・外国人スタッフが混在
その結果、「知らずに違法状態」になっている、未払い賃金や労基署是正のリスクにつながることも少なくありません。
そもそも「定期健康診断」とは?
法的根拠|労働安全衛生法
定期健康診断は、労働安全衛生法第66条により、事業者の義務として実施が義務付けられています。
👉 ポイント
- 対象:常時使用する労働者
- 頻度:原則 年1回
- 費用:事業者負担
つまり、健康診断は「会社の都合・義務」で行うものです。
飲食業で特に重要な理由
飲食業では以下のリスクが高いため、健康診断は非常に重要です。
- 長時間立ち仕事
- 深夜勤務
- 不規則な生活リズム
- 腰痛・腱鞘炎・メンタル不調
- 食品衛生上の観点
特に、労災・過重労働・メンタル不調が絡むと、後のトラブルは深刻化します。
定期健康診断は労働時間になる?
| ケース | 労働時間該当 | 賃金支払 |
|---|---|---|
| 業務命令で受診 | 原則〇 | 原則〇 |
| 会社指定の日時・医療機関 | 〇 | 〇 |
| 自由参加・任意 | × | × |
| 業務と切り離せない場合 | 〇 | 〇 |
「労働時間」の考え方
労働時間とは?
労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間を指します。
👉 実作業だけでなく、待機、移動、研修なども含まれる場合があります。
健康診断が労働時間になる理由
定期健康診断は、法律で義務付け、会社が受診を命じる、受診しないと不利益という性質を持つため、実質的に「業務の一環」と評価されやすいのです。
厚生労働省通達
厚生労働省は、定期健康診断について以下のように示しています。
事業者の指示に基づき、業務の一環として行われる健康診断は労働時間に該当する
つまり、会社主導・義務的な健康診断は労働時間扱いが原則です。
休日・営業時間外に受けさせた場合
休日受診はどうなる?
休日に健康診断を受けさせた場合でも、会社指定、業務命令、受診必須であれば、労働時間扱い + 賃金支払が必要です。
場合によっては、休日労働、割増賃金の対象になる可能性もあります。
営業時間外・早朝受診
「開店前に行かせた」
「中抜けで行かせた」
この場合も、業務命令性があれば労働時間です。
移動時間は労働時間?
原則
- 通常の通勤 → 労働時間ではない
- 特定の医療機関を指定 → 労働時間性が高まる
飲食店で注意すべき点
- 店舗から集団で移動
- 業務用車両を使用
- 受診後にそのまま出勤
これらは労働時間と判断される可能性が高いです。
アルバイト・パートも対象?
結論
👉 「常時使用する労働者」なら対象
雇用形態は関係ありません。
「常時使用する」とは?
- 週の所定労働時間が正社員の3/4以上
- 期間の定めがあっても反復更新
飲食店では、長期アルバイトが該当するケースが多いため注意が必要です。
外国人スタッフの場合
在留資格に関係なく、労働者であれば同様に健康診断義務ありです。
特に、特定技能、技人国、留学生アルバイトも対象になるケースがあります。
受診しなかった場合の対応
受診命令は可能?
👉 可能です
安全配慮義務の観点からも、受診を命じる合理性があります。
拒否したら懲戒できる?
- 就業規則に明記
- 正当な理由なく拒否
この場合は指導・懲戒の対象になる可能性があります。
実務でよくあるNG例
❌ 休日に受診させて無給
❌ タイムカード未打刻
❌ 「自己管理」として放置
❌ アルバイトは対象外と誤解
👉 労基署調査で非常に指摘されやすいポイントです。
正しい運用ポイント
就業規則に明記
- 健康診断の実施方法
- 労働時間の扱い
- 賃金の支払
シフト調整
- 業務時間内に組み込む
- 中抜け扱いを明確に
記録を残す
- 受診日時
- 命令の有無
- 賃金支払の有無
当事務所からのアドバイス
飲食業は、人の入れ替わりが激しい、曖昧な慣習が残りやすい、労基署のチェックが入りやすいという業界です。
健康診断の扱いを誤ると、未払い賃金、是正勧告、スタッフとの信頼低下につながります。
「うちの運用は大丈夫?」
「アルバイトの扱いが分からない」
「就業規則を見直したい」
そんな飲食店経営者の方は、お問い合わせフォーム から、お気軽にご相談ください。

