解雇、退職、退職勧奨の違いとは？

2025年2月28日 2025年2月28日

小野里実

「解雇」「退職」「退職勧奨」は、雇用契約が終了するという意味では、似たような状況に思えるかもしれませんが、それぞれには明確な意味と法的背景、そして影響が存在します。

解雇とは？

解雇は、企業側が従業員との雇用契約を一方的に解除することを言います。

法の側面:
解雇は、労働基準法や労働契約法に基づく「合理的な理由」が必要とされ、訴訟にも厳しい規制があります。
例えば、勤務態度に問題がある、業務命令や職務規律に違反するなど労働者側に落ち度がある場合が考えられます。
ただし、すぐに解雇が認められるということはなく、労働者の落ち度の程度や行為の内容、それによって会社が被った損害の重大性、労働者が悪意や故意でやったのか、やむを得ない事情があるかなど、さまざまな事情が考慮されて、解雇が正当かどうか、最終的には裁判所において判断されます。
影響:
従業員自身の意思に基づかないため、精神的・経済的なショックを受けることが多いほか、場合によっては不当解雇として訴訟に発展するケースもあります。

退職は、従業員が自らの意思で職場を退職することを意味します。

退職勧奨は、企業が従業員に対して「辞めてほしい」「辞めてくれないか」などと言って、退職を勧めることをいいます。
これは、労働者の意思とは関係なく使用者が一方的に契約の解除を通告する解雇予告とは異なります。

背景と目的:
経営上の適切化や組織再編の意思として、企業が従業員の代わりや効率化を際立って行われることがある。
手法：
インセンティブ（退職金の上や乗せ再就職支援など）の提供や、一定の期間内にする退職よう慎重にするケースが多いです。
法的・社会的な注意点:
実際には、圧力がかかっている状況下での「退職」となるため、後に不当な労働環境として定められる可能性も否定できません。
また、退職勧奨に応じて退職した場合には、自己都合による退職とはなりません。

意思決定の主体:

解雇：企業側の一方的な判断
退職：従業員自身の意思
退職勧奨：表面上は従業員の意思に応じるが、実質的には企業からの強い勧めがある状態

法的保護:
解雇は合理的な理由が必要なため、不当解雇として争われる可能性が高い一方、自己都合の退職は法的な保護が比較的薄いとされます。
退職勧奨の場合、表面的には自主退職であっても、事実上の強制に近い場合は法的な争点になることもあります。

経済的・心理的影響:
突然の解雇は精神的・経済的ダメージが大きいですが、自己都合の退職はある程度計画的に行われる一般的です。
退職勧奨が、本人にとっては自主退職であっても、実際には圧力や不安感からの決断である場合が多く、心のケアや再就職支援が求められるケースもあります。

「解雇」と「退職」、「退職勧奨」は一見似ているように見えますが、その背景や法的な意味合い、そして従業員に与える影響は大きく異なります。

職場環境の変化や経営状況の変動により、これらの状況は避けられない場合もありますが、それぞれの立場の違いや影響を正しく確保することは、労働者としても企業としても非常に重要です。

この記事が、退職、退職、退職奨励金の違いを理解する一助となれば幸いです