割増賃金の基礎となる1時間あたりの賃金額
月給制など時間給制以外の場合は、残業手当等の割増賃金を計算する際に1時間当たりの単価を計算する必要がでてきます。
この単価が間違っていることがありますので、解説します。
目次
月の所定労働時間
月によって、所定労働時間がまちまちになることはよくあると思います。
その場合、その月の所定労働時間で1時間当たりの単価を計算すると、月額給与が変わらなくても。月によって単価が変動してしまいます。
割増賃金の単価を計算する場合は、1年間の所定労働時間の平均を使用することが認められています。
・1か月の平均所定労働時間=1年間の所定労働日数×1日の所定労働時間÷12
・1時間あたりの賃金額=月給÷1か月の平均所定労働時間
たとえば、年間休日が125日、1日の所定労働時間が8時間の企業で、月給30万円の従業員の場合は以下のとおりとなります。
(365日-125日)×8時間÷12=160時間・・・1か月の平均所定労働時間
300,000円÷160時間=1,875円・・・1時間あたりの賃金額
この場合は割増賃金の基礎となる1時間あたりの単価が1,875円となり、時間外労働などの割増率をかけた金額がその割増賃金の単価になります。
割増賃金の基礎から除外できる賃金
割増賃金の基礎となる賃金から除外できるものは、 ①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金の7つです。
※④子女教育手当は、家族帯同で海外勤務をしている従業員の子どもの教育費を援助する手当です。
①一方、家族手当は扶養している家族の数に応じて支給される手当です。
たとえ、上記名称で支給していても、割増賃金の基礎から除外できない場合があります。
家族手当
扶養家族の人数またはこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当
〇除外できる
扶養家族のいる従業員に対し、扶養人数に応じて支給する場合
配偶者1万円、その他の家族5千円など
✖除外できない
扶養家族の有無、人数に関係なく一律で支給する場合
従業員全員に一律2万円など
通勤手当
公共交通機関、通勤距離に応じて支給する手当
〇除外できる
通勤に要した費用に応じて支給する場合
1か月定期券の金額など
✖除外できない
公共交通機関、通勤距離に関係なく一律で支給する場合
従業員全員に一律1万円など
住宅手当
住宅に要する費用に応じて算定する手当
〇除外できる
住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給する場合
賃貸住宅の場合、家賃の一定割合、持ち家の場合は、月額ローンの一定割合を支給する場合など
✖除外できない
住宅の形態ごとに一律で支給する場合
賃貸住宅3万円、持ち家1万円を支給する場合など
固定残業手当
固定残業代は、一定時間分の時間外労働、休日労働、及び深夜労働に対して定額であらかじめ支払われる割増賃金のことです。
これを採用するには、就業規則等に明記が必要です。
また、実際に労働させた時間数よりも固定残業代が低い場合、差額を追加で支払わなければなりません。
管理職手当
管理職手当などの名称で支給する場合、通常は割増賃金の基礎から除外できる賃金には該当しないため、割増賃金の基礎に含まれる手当になります。
労働基準法上のいわゆる管理監督者として、管理職手当を支給している場合は、残業手当の対象外になるので問題はないですが、飲食業の店長など、企業内では管理職であっても、労働基準法上の管理監督者として認められないケースがあります。
管理職手当の趣旨が、残業手当の対象外なのでその見返りとして管理職手当を支給しているような場合は、就業規則に固定残業手当として支給していることも明記することで、名称が管理職手当であっても固定残業手当として認められることがあります。